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口臭恐怖症の治療 [歯科の周辺]

口臭恐怖症の治療

 実際には問題となるような口臭を発していないのに,自分には周囲を不愉快にする口臭がある,と思い込んでいる方がいます。

 口臭を主訴として来院された患者さんが,口臭を感じることができないにもかかわらず,口臭の歯科的な除去(除臭)を求め続けてきたときに問題が起こります。

 歯科医院における歯石の除去と歯面の清掃を行い,舌面の清掃を含めたブラッシングを指導したとしても,このような患者さんを納得させることはできないでしょう。

 このような患者さんを,いきなり口臭恐怖症と診断することは,できれば避けた方がよい,としておきます。が,歯科での治療ではほとんど効果がないでしょうから,医科への受診を勧めた方がいいと思います。

 だいぶあやふやな態度なのですが,言い訳を述べますと,

 まず,口臭がゼロであるは,ある一定の年齢を超えるとあり得ない,ということがあります。口臭をゼロにすることはできない,と捉えてもらっても結構です。

 ただ,周囲のヒトを不快にするような刺激臭は排除されなければなりませんし,そのような口臭の除去は可能だと思います。

 あなたには口臭はありませんよ,と言えない場合がほとんどだ,ということです。つまり,問題となる口臭はないとしても,口臭はゼロではないわけですから,口臭をゼロにしたいと考えている患者さんの希望を叶えていないことになります。

 少し戻して,口臭恐怖症の患者さんで問題となるのは,歯の磨きすぎが認められる場合です。ときには,舌面に傷がつくほど磨いている方もいます。そのような場合が問題となるわけです。

 歯や歯肉,舌面の磨き過ぎは,傷がつくことになり,そこに化膿性の炎症が起これば,そのような方がもっとも怖れている腐敗臭の原因となります。

 歯科では,投与することはないのですが,明らかな口臭恐怖症の方には,抗うつ薬が投与されることが多いようです。

 ドーパミン,ノルアドレナリン,セロトニンなどのアミン類が,神経細胞間(シナプス間隙)の刺激を伝達する代表的なものです。脳内アミン類の活性が低下するとうつ状態となる,という考え方があります。抗うつ薬の効果は,脳内アミン類の活性を高めることにあります。

 抗うつ薬は,シナプスの刺激伝達に対する作用にから,4種類に分けることができます。

①モノアミン酸化酵素の阻害剤

 脳内アミン類に作用する代謝酵素の働きを抑えることで,脳内アミン類の減少を遅らせ,その結果として脳内アミン類の量を上げる薬剤です。

②再取り込みの阻害剤

 シナプス間隙に放出されたアミン類が,もとの神経細胞に再取り込みされるのを阻害することで,シナプス間隙のアミン量を高いレベルに維持する薬剤です。セロトニンを高めるものと,ノルアドレナリンを高めるものがあります。

③シナプス前受容体の阻害剤

 シナプス間隙のアミン量を調節している自己受容体機能を阻害して,脳内アミン類の持続的放出を起こさせ,シナプス間隙のアミン量を高める薬剤です。

④シナプス後受容体の賦活剤

 シナプス後受容体を刺激して,シナプス後神経細胞の機能を高める薬剤です。

 最後に,口臭を訴える患者さんのなかには,口臭恐怖症のような強迫性障害だけでなく,身体醜形障害(ときに妄想を伴うこともありとされています),パニック障害,身体表現性障害,社会恐怖を思わせる症状が認める患者さんもいることが考えられます。口臭に対する処置の第一歩は歯科ですが,歯科だけでは解決できない患者さんもいることを付け加えておきます。

 余談ですが,口臭恐怖症かな,と私が感じた患者さんの数は,大学病院勤務時代に1人,開業後に1人です。それほどの数ではないと考えられます。しかし,歯科治療の範囲を超えた患者さんを抱え込んだり,そのような患者さんを集めることは,歯科医にとっても治療をされてしまう患者さんにとっても,不幸なことにつながると考えています。


2008-06-22 13:53  nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

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