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アーライン [クラウン・ブリッジ・義歯]

 硬口蓋と軟口蓋との境界線を,歯科補綴学ではアーラインと呼んでいます。

 硬口蓋と軟口蓋との境界(アーライン)を,解剖学的に特定することは容易ですが,歯科診療においてこれを特定するためには,それなりのコツがあります。

 つまり臨床的にアーラインを決定する場合は,「アー」音を続けて発音させます。そのときに,硬口蓋の部分は動きませんが,軟口蓋の部分は震えることを利用します。この震える部分と震えない部分との境界をアーラインとして,これを硬口蓋と軟口蓋との境界としています。

 なぜアーラインかというと,上顎の義歯床の後縁は,アーライン上に置くことになっているからです。

 しかしながら,アーラインまで義歯床を延長すると,次のような問題が生じることが指摘されています。

(1)口蓋小窩は,通常,アーラインの前方にあるために,義歯床によってこれが覆われることになる。

(2)嚥下時に,舌背がアーライン付近の義歯床に接触するために,悪心や嘔吐を訴えることがある。

(3)口蓋音である「カ」行音および「ハ」「ヒ」の発音障害を訴えることがある。

(4)硬口蓋と軟口蓋との境界部の粘膜には,口蓋部乳頭の味蕾が存在するため,この部分を覆うことで味覚障害を起こす場合がある。



入れ歯を磨く [クラウン・ブリッジ・義歯]

 入れ歯を清潔に保つことは,ムシ歯,口臭,口腔粘膜疾患だけでなく,最近注目されて危険性が問題となっている嚥下性肺炎を予防することにつながります。

 また,入れ歯をキレイに磨いておくことは,入れ歯の劣化を防いで,長持ちさせることができます。

 入れ歯の汚れの原因としては,食べ物の食べかすやタバコのヤニなどです。また,表面に歯石のような沈着物が付着することもあります。

 入れ歯の汚れを取る方法には,機械的な清掃と化学的な清掃の2つがあります。

 機械的な清掃では,表面の汚れ(バイオフィルム)を大ざっぱに除去することはできますが,小さな穴や傷に入り込んだ汚れを除去することはできません。化学的な清掃では,プラーク表層の細菌には効果がありますが,深部まで殺菌することは難しいと考えられます。

 入れ歯の汚れを取るためには,まず機械的にバイオフィルムを破壊しておき,次いで化学的清掃によって細菌を除去する方法がよいでしょう。

 機械的清掃は,入れ歯の汚れを取る基本となります。方法は簡単で,ブラシを使ったり,超音波洗浄機を使ってもよい。

 毎食後と就眠前に行うと効果的である。具体的には,次のような方法を勧めてい,あす。

 入れ歯を外して,ピンク色の部分は軟毛のブラシで,人工歯の部分は小さい硬毛のブラシを用いて磨きます。このとき,粘膜面歯槽部,人人工歯と床の境は,プラークが着きやすくて除去しにくい部分でもあるので,念入りに行います。

 水を流しながら入れ歯を磨くと清潔的ですが,入れ歯を落としてしまうと,入れ歯が壊れたり変形してしまいます。これを防止するために,流水の下にお皿を置いておくと安全です。入れ歯を落としても,受け皿にたまった水がクッションとなりますから,破折や変形を防げます。また,入れ歯を下水に流してしまうのを防ぐこともできます。



テンポラリークラウン [クラウン・ブリッジ・義歯]

 テンポラリークラウン(暫間被覆冠)とは,支台歯を形成した後に,補綴物を装着するまでの期間,一時的(暫間的)に支台歯に装着しておくものです。

 前歯,とくに上顎前歯を支台歯形成したときは,テンポラリークラウンを装着しておかないと,審美的に患者さんはたいへん苦痛を味わうことになります。

 形成された支台歯が生活歯(歯髄が生きている歯)の場合,食事中に食べ物が当たる物理的な刺激や,酸っぱいものなどの化学的な刺激,さらに冷たい物や熱いものからの温度刺激によって,患者さんは疼痛を感じることになります。このようないろいろな刺激を遮断するためにも,テンポラリークラウンを装着する必要があります。

 また,支台歯形成によって,歯肉の辺縁は露出されることになるので,ここに食べ物や歯ブラシなどが強く当たると,その形が変形してしまい,次回来院時に補綴物を装着したときに,その補綴物と歯肉との関係が変化してしまいます。

 生活歯の場合,支台歯形成に際しては局所麻酔を併用しますが,少なからず歯髄に対して障害を与えている危険性があります。そのまま放置しておくと,歯髄炎に移行するおそれがありますから,歯髄を鎮静しておく必要があります。このため,テンポラリークラウンで支台歯の全面を覆うようにして,その接着には歯髄に対して鎮静作用があるものを使用するようにします。

 テンポラリークラウンは,支台歯の位置が変化しないため,という目的もありますが,それについては次回以降ご紹介します。



部分床義歯の設計 [クラウン・ブリッジ・義歯]

 部分床義歯(パーシャルデンチャー)の設計に際しては,欠損部の形態,顎堤の条件,残存歯の位置と数と植立状態などが基本となります。

 さらに,次に挙げる項目も設計の際に漏れなく考慮して,最終的に一つの設計にまとめあげます。

(1)人工歯に加わる咀嚼圧をどの範囲で支持させるか

 歯牙による負担に重点をおくか,粘膜による負担に重点をおくか,あるいは両者に分散させるかを決めます。

(2)遊離端部の対応策

 義歯床の遊離端に咀嚼圧が加わると,義歯床は沈下(これを被圧沈下という)あるいは側方への移動が生じます。そのような場合でも,義歯が安定しているように対応策を考えておきます。

 また,遊離端部に作用する力は義歯を離脱させる力としても作用するので,これに抵抗する対応策も考えておきます。

(3)審美的な観点

 維持装置は,可及的に遠心の歯に設置することで,審美的な問題点を回避できます。さらに,唇側面に維持装置が現れないよう配慮できればなおさらです。

(4)発音機能

 発音の障害とならないよう配慮します。たとえば,口蓋の前方部分には連結装置を設置しないようにします。

(5)口腔内の感覚

 必要以上に粘膜を被覆することは避けて,舌が接触する範囲にも複雑な形態の装置は設置しないようにして,異物感を少なくします。

(6)使用材料の強度

 使用する材料は強度が異なることを考慮して,その強度に応じた幅や厚みなどを決定します。

(7)義歯周辺の解剖的条件

 義歯辺縁の位置や連結装置の種類,位置などを決定する際には,周囲の解剖学的形態を考慮します。

(8)咬合関係

 咬合関係によっては,クラスプの位置に制限が生じる場合があります。また,咬合が深い場合は,義歯床の外形に制限が生じます。

(9)維持装置の選択

 維持装置の種類によっては,それを固定するために周囲の義歯床の形態が異なってきます。

(10)維持歯の状態

 維持歯となる歯の骨植と植立方向によって,維持装置だけでなく義歯の装着(着脱)方向も制限を受けます。歯周組織に吸収があれば,維持歯として機能できない場合もあるでしょう。また,特殊な歯冠の形態などがあれば,制約を受けることになります。

(11)その他

 患者さんに習癖があれば,それを考慮する必要もあります。



部分床義歯のケネディ分類 [クラウン・ブリッジ・義歯]

 部分床義歯は,インプラントと同じように,1歯欠損から1歯残存までの広い範囲の症例に適用されます。そこで,ある共通点をもとに症例を分類整理しておくと,部分床義歯を設計するときに有利となります。そのような目的で,これまでにも多くの分類方法が提唱されてきています。

 ここでは,部分床義歯の分類で最も基本となる,ケネディの分類をあげておきます。

 この分類法は,残存歯の分布状態による分類法です。

第1級:歯牙欠損は維持歯より後方にあって,しかも両側性のもの。

第2級:歯牙欠損は維持歯より後方にあって,しかも片側性のもの。

第3級:片側のみの欠損で,その両端に維持歯のあるもの。

第4級:歯牙欠損が維持歯より前方にあるもの。

 なお,第1級,第2級,第3級には,中間欠損の数によって,次の4つの類型があります。

第1類:1個の中間欠損を含むもの。

第2類:2個の中間欠損を含むもの。

第3類:3個の中間欠損を含むもの。

第4類:4個の中間欠損を含むもの。

 また,第4級は,前歯部の欠損などで,類型はありません。



最小限の歯質削除 [クラウン・ブリッジ・義歯]

 クラウンの支台歯形成では,当然のことですが,削除する歯質の量を最小にするように心掛けなければなりません。

 最近は,性能のよい接着性セメントが開発されていて,これを使用することができますから,以前のように手の込んだ維持形態を支台歯に付与する必要がない場合もあるでしょう。

 削除する歯質の量を最小限にするには,4分の3冠や5分の4冠などの部分被覆冠が理想です。しかし,これらは現状の健康保険制度では認められていません。保険で歯科治療を受けるならば,なぜか,全部鋳造冠(フルクラウン)となってします。世間をあげての省資源のご時世ですが,歯科の保険治療ではフルクラウンだけが認められているようです。金属資源の無駄使いのような気もしますが。

 話を戻して,接着材料が使用できることから,クラウンの支台歯形成に関する技術は,継承されていないようです。

 支台歯形成における理論は,長い年月をかけて先人たちが考案した,かなり完璧なもの,と感じています。これを捨て去ることは,惜しいことに思われます。今流行のラミネートベニヤもオールセラミッククラウンも,支台歯形成という面では,かつてのクラウンの支台歯形成法と何ら変わることはないからです。

 ブリッジや,この話題の途中ででてきたパーシャルデンチャーも,インプラントの登場で,ほとんど形成しなくなった感があります。

 とはいえ,私はインプラントをやっていないので,昔ながらのブリッジを希望する方には,軸面の平行性とかグルーブとかピンホールなど,維持力を気にしながらの形成ということになっています。パーシャルデンチャーも,鉤歯となる支台歯の形成には,削り出す前にいろいろと考えて,出来上がりに気をつける日々でもあります。

 支台歯の形成については,これでひと休みとします。ありがとうございました。

 次回からは,クラウンとブリッジに関する,いわゆる冠橋補綴学のやや専門的な話題を扱う予定です。



金属焼付陶材冠の二面形成 [クラウン・ブリッジ・義歯]

 支台歯の唇側面あるいは頬側面では,二面形成を行います。

 これは,審美性が要求される金属焼付陶材冠の支台歯形成ではとくに重要となります。

 つまり,金属焼付陶材冠(メタルボンドクラウン)の支台歯形成では,陶材による色調の再現に必要な量だけを削除してしまうと,上顎前歯では唇側面の中央部のクリアランスが不足して,審美的に不十分な完成品が出来上がってしまいます。もし,無理矢理に色調を再現しようとして,多めに支台歯を削除してしまうと,露髄する危険性があります。これらを避けるためにも,二面形成は重要となります。

 もう少し詳しく述べます。異なる視点から,二面形成を考えてみます。

 上顎前歯の金属焼付陶材冠のための支台歯形成の場合です。このとき,二面形成をしないで,唇側面の形成を行って,さらに陶材(ポーセレン,セラミック)による色調の再現をはかり,かつ唇側面の露髄を避けたとします。このときに出来上がってくる金属焼付陶材冠の切縁は,二面形成を行った場合よりも唇側に位置するはずです。

 つまり,やや出っ歯の感じで出来上がることになります。

 二面形成がそれほど万能かというと,そうではありません。二面形成の角度が急であるような,誤った二面形成を行った場合には,唇側面の中央部が形成不足となり,陶材による色調の再現が不可能となってしまいます。

 また,二面形成は,補綴物の審美性の向上のためだけに行うものではありません。歯冠側における急な角度での削除を避けることで,露髄する危険性を減らすこともできます。



硬口蓋と上顎の義歯 [クラウン・ブリッジ・義歯]

 口腔は,上顎骨と下顎骨をおもな骨格として,その間を張り巡っている筋肉や腺組織などからなる可動性の壁によって構成されている空間である,と解剖学的に定義ができます。

 口腔の上方を構成しているのが口蓋です。口蓋の前方は不動性の硬口蓋で,後方は可動性の軟口蓋です。これらによって,口腔と鼻腔とを境界しています。

 つまり,硬口蓋は固有口腔(歯・歯槽骨と口腔前庭を除いた部分)の,上壁前方の2/3を占めています。ここの部分の粘膜は,下層にある骨と強く結合していて,なおかつ粘膜上皮は角化しています。このため,硬口蓋は機械的に強靭で,抵抗力に強い性質を有しています。また,粘膜下には口蓋腺が散在しています。

 硬口蓋の口蓋面粘膜上に見られる,おもな隆起やくぼみとして,次のような構造物が観察されます。

(1)切歯乳頭

 中切歯の後方にある,楕円形の隆起です。

(2)口蓋縫線

 切歯乳頭を出発点として,正中線を後方へ向かって走る線です。

(3)横口蓋襞

 切歯乳頭のすぐ後方で,左右小臼歯の付近までの間で,正中口蓋縫線を中心にし,左右側に各4条くらいづつあります。

(4)口蓋隆起

 正中に沿って縦走する,平坦な左右一対の隆起で,日本人の約30%に存在しています。

(5)口蓋小窩

 口蓋縫線の両側に存在する小窩で,粘液腺(口蓋腺)が開口している部分です。この小窩の出現率は約50%ですが,これが存在している人では,義歯床後縁の位置決定の一つの基準として利用されます。



舌下腺と義歯の安定性 [クラウン・ブリッジ・義歯]

 舌下腺部の印象採得は,下顎全部床義歯(下顎の総義歯)の辺縁封鎖において,重要な操作となります。

 舌下腺は,下顎の前歯部から小臼歯部にかけての舌側にあります。解剖学的には,顎舌骨筋の上にのっています。肉眼的には,舌の下部に隠れた位置に存在しています。

 顎舌骨筋は,口腔底を構成する筋です。そして,舌下腺は顎舌骨筋の上にのっていますから,顎舌骨筋が運動すれば,それに伴って舌下腺も動くことになります。

 なお,下顎全部床義歯の舌側床縁の辺縁封鎖は,義歯の安定に重要であるとされています。

 つまり,舌側床縁が過剰だと,口腔底(舌下部)にある顎舌骨筋の動きによって義歯が浮上してしまいます。反対に,この部分の床縁が不足すると,義歯が辺縁封鎖されないことになりますから,同じく不安定となってしまいます。

 このように,下顎全部床義歯の作製にあたっては,舌下腺部の印象採得を正しく行うことが重要となるわけです。そして,この部分の印象採得の出来不出来が,将来の義歯の安定性を左右することを忘れてはいけません。

 また,舌下腺が分泌する唾液は,ムチンを含むので粘液性です。大舌下腺管は顎下腺管と一緒になって,開口部は同じで,舌下部にあります。これは,舌を挙上すると,その下に見ることができます。



入れ歯と味覚 [クラウン・ブリッジ・義歯]

 入れ歯を装着した後,「味が分かりにくくなった」,「食事がおいしくなくなった」という,患者さんからの不満の声を耳にしたことがあります。

 とくに上顎の総入れ歯で,硬口蓋を広く覆った入れ歯のときに,このような問題が生じやすかったようです。

 味を感知する味細胞は,舌にほとんどが存在して,軟口蓋,咽頭,喉頭蓋の粘膜に少数分布しています。入れ歯が覆っている硬口蓋には,味細胞はほとんど存在しません。

 しかし,硬口蓋を入れ歯で覆うだけ味が変わるのはなぜでしょうか。

 これは,味覚とは,種々の感覚が組み合わさって,中枢で修飾されて形成されるため,と考えられます。

 硬口蓋のような口腔粘膜から得られる触覚,圧覚などの感覚情報は,味覚中枢である大脳皮質の味覚野や島にも入力されているのかもしれません。これらの情報が,大脳皮質連合野で統合されるのでしょう。

 すると,入れ歯を装着した状態で食物を咀嚼したときの,硬口蓋からの口腔感覚(味覚ではなくて,触覚,圧覚,温・冷覚)の情報が,中枢で味覚情報と混合される場合があることになる。このような場合であれば,入れ歯なしの時に記憶された味と,入れ歯を装着してからの味とは,異なる味として感じる可能性はあるでしょう。

 また,硬口蓋を覆うと,味覚の閾値が上昇する可能性があることも分かっています。



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