So-net無料ブログ作成
ムシ歯の治療 ブログトップ

水酸化カルシウム製剤の根管貼薬剤としての歴史 [ムシ歯の治療]

 水酸化カルシウムが歯科に導入されたのはヘルマン(1920年)が最初とされています。

 当初は,水酸化カルシウムによる硬組織誘導作用を期待して,覆髄剤として利用されていたようです。

 その後次第に,断髄剤,アペキシフィケーション,穿孔部の封鎖と,さまざまな状況に対して応用されるようになったという歴史があります。

 根管貼薬剤として水酸化カルシウム製剤が注目されるようになったのは,1970年頃からです。さいきんでは,水酸化カルシウムに関する論文は根管貼薬剤として使用した場合がほとんどなっています。

 わが国で最も一般的な根管貼薬剤は,ホルムクレゾール(FC)でしょう。

 欧米の状況は,半数の歯科大学で水酸化カルシウム製剤を根管貼薬剤として用いるように教授されているといいます。

 つまり,日本ではあまり馴染みのない水酸化カルシウム製剤は,欧米ではすでに日常使用されているという状況です。

 水酸化カルシウム製剤は,ホルムクレゾールなどのフェノール系の根管貼薬剤とは異なった特性があります。

 現在使用されている根管貼薬剤としての水酸化カルシウム製剤は,練和が不要,使用が容易,固まらないという性質を持っています。



開発されるコンポジットレジン [ムシ歯の治療]

 新しく発売されるコンポジットレジンの改良点は,最近では象牙質への接着(デンチン・ボンディング)の方法の改善が主要となっています。

 つまり,商品によって,デンチン・ボンディングの手法が異なってきます。

 たとえば,商品によって,リン酸処理をしたりしなかったり,ボンディング剤の塗布後に乾燥したりそれが不要であったり,ボンディングにおける手技で異なる指示がされています。

 接着の強さと操作の簡便性を追求した最新の商品が採用しているデンチン・ボンディングは,ワンステップ・ボンディングという方法です。

 ここで問題としたいのは,接着の対象となるヒトの象牙質は,長い間不変の構造を保っています。それなのに,これに接着するボンディング剤を開発し続けていることです。

 歯科材料の開発が続けられていることは,臨床に携わっている歯科医としては心強いことです。そして,接着力の大きい商品が,操作においても簡単であれば,そのようなボンディング剤の登場を歯科医は望んでいます。

 さらに踏み込んで問題点を探すと,接着力の強さの評価方法があります。

 接着力判定の基準は,う蝕のないヒト抜去歯の象牙質面(これは平面となっている)に,メーカーの指示通りにコンポジットレジンを接着したときの,その24時間後の接着強さ,です。

 歯科臨床で接着の対象としているのは健全な象牙質(面)ではありません。ムシ歯の部分を除去して,露出した硬化象牙質に接着する場合がほとんどとなります。

 このため,充填修復歯科治療ではコンポジットレジンを多用するのに,メーカーが公表している接着強さが臨床の現場では得られていない,という状況をたびたび経験することになるのです。

 けっして,新しい製品の性能が悪い,と言っているわけではありません。ただ,臨床的には,公表値よりも低い値しか期待できないのではないかな?と感じているだけです。



歯科で使用する非ステロイド系消炎鎮痛薬 [ムシ歯の治療]

 非ステロイド系消炎鎮痛薬は,先制鎮痛法で使用されるだけでなく,歯科治療一般で広く使用されています。よく使用される非ステロイド系消炎鎮痛薬を以下にあげておきます。

 非ステロイド系消炎鎮痛薬は,大きく分けて,酸性の鎮痛薬と塩基性の鎮痛薬に分けることができます。

 酸性鎮痛薬は,効果が確実ですが,胃腸障害などの副作用があります。一方,塩基性鎮痛薬は,その鎮痛効果に満足できない部分もありますが,好ましくない副作用の出現が少ないという利点があります。

 酸性鎮痛薬の代表は,アセチルサリチル酸(商品名:アスピリン)でしょう。これには,鎮痛効果の他に,副作用としての抗血小板作用がありますが,これを主目的として血栓防止に使用することがあります。また,アスピリンによる胃腸障害は有名です。

 アンスラニル酸系のメフェナム酸(商品名:ポンタール)は,強い鎮痛作用が期待できます。副作用として,下痢があります。

 フェニル酸系のジクロフェナク(商品名:ボルタレン)は,歯科で多用される鎮痛薬で,強力な消炎鎮痛作用がある反面,胃腸障害も強く出ます。

 インドール酸系としてインドメタシンがありますが,これを歯科で使用する機会は少ないでしょう。

 プロピオン酸系の酸性鎮痛薬として,イブプロフェン,フルビプロフェン,ロキソプロフェン(商品名:ロキソニン)があり,これらは平均的な消炎鎮痛作用と解熱作用を持っており,副作用はそれほど強くありません。

 エトル酸系のピロキシカム(商品名バキソ)は,半減期が長いという特徴があります。

 塩基性の鎮痛薬は,チラミド(商品名:ソランタール)とエモルファゾン(商品名:ペントイル)があり,副作用が少ない反面,鎮痛作用は中程度です。

 個人的には,下顎第三大臼歯の抜歯後や智歯周囲炎などで,強力な鎮痛作用を求めるときはボルタレンが第一選択となります。顎関節症などでは,痛みが強い場合はメフェナム酸(ポンタール)となります。矯正治療中や,どう考えてもそれほどの痛みが生じているとは考えられない場合は,チラミド(ソランタール)を投与しています。

 なお,ボルタレンは歯科治療に伴う痛みには十分な鎮痛効果が現れますが,二日酔いの頭痛などには効きません。頭痛にはポンタールが効き,筋肉などが関係している場合はロキソニンが効く,という印象を持っていますが,服用する人によっても効果は異なると思います。



実際の先制鎮痛法の効果 [ムシ歯の治療]

 動物を対象とした検討では,先制鎮痛法の効果は明らかであることが確認されています。しかしながら,人を対象とした場合,その効果については疑問視する結果が報告されています。その一部を,以下に紹介します。

 抜歯や歯根端切除術などの,いわゆる口腔外科小手術に際して,ロキソニンを術前に投与したところ,先制鎮痛の効果が得られたという報告があります。ロキソニンという選択がよかったのかもしれませんが,歯科医ならばボルタレンを選択したくなるところです。

 また,フルルビプロフェンを術前投与して,全身麻酔下で上顎洞根治術を行った場合にも,先制鎮痛の効果が得られたといいます。全身麻酔を利用することは,大学病院などで麻酔医がいるところでないと無理ですが,全身麻酔においても先制鎮痛効果があったということです。

 しかしながら,下顎第三大臼歯の抜歯という,歯科治療では先制鎮痛の効果をもっとも期待したい治療に際しては,ジクロフェナクを術前投与して,局所浸潤麻酔下で抜歯を行ったところ,先制鎮痛の効果を得ることが出来なかった,という報告があります。そうすると,先制鎮痛法の意味がなくなってしまいそうです。

 さらに,下顎第三大臼歯の抜歯において,これを全身麻酔下で行った際に,ペチジン,テノキシカム,アルフェンタニルなどを術前に投与しても,先制鎮痛の効果を得ることが出来なかったといいます。

 つまり,下顎第三大臼歯の抜歯においては,先制鎮痛法がまったく効果がないという印象を受けます。

 臨床において,明らかな先制鎮痛の効果が得られないことについては,さまざまな理由が考えられていますが,そのもっとも大きなものは,やはり,先制鎮痛による痛みの遮断が十分でなかったことだ,といわれています。であれば,先制鎮痛に使用する薬剤を慎重に選択すれば,その効果が期待できることになってしますが,あくまでも個人的な印象としては,先制鎮痛の効果のある治療とない治療がある,と考えたくなってしまいます。

 下顎第三大臼歯の抜歯は,先制鎮痛法が効果があるならば,術中および治療後の患者さんの苦痛を,大きく減らすことができます。親知らず歯を抜歯した後に,痛くて困った,という経験をされた方も多いでしょうし,歯科医としてはそのような苦情を申し訳なく感じています。

 しかし,下顎第三大臼歯の抜歯後の痛みは,おそらく抜歯に伴う周囲組織の炎症が生じたか,抜歯に要する時間が長いために炎症が生じたか,いずれにしても抜歯後の炎症が原因であり,この炎症に対しては先制鎮痛は効果がないとされているので,どうしても痛みが生じるものと考えています。



歯科治療での先制鎮痛法 [ムシ歯の治療]

 通常の歯科治療では,確実な局所浸潤麻酔を行うことが,先制鎮痛につながります。

 歯科治療で用いられる局所浸潤麻酔では,侵害受容器が活性化することを抑制し,プロスタグランジンの産生に対しても阻害が生じるので,末梢性の感作を予防することができます。また,侵害刺激による神経インパルスの発生に対しても抑制が起こるので,これによって中枢性の感作も予防されます。

 つまり,確実に局所麻酔をするで,治療中の痛みから解放されるだけでなく,治療後の痛みも軽減して,鎮痛薬を服用する必要性が減少することになります。

 確実で十分な麻酔効果を得ようとするときには伝達麻酔を選択することがあります。しかし,上記のような先制鎮痛を期待するのならば,局所の浸潤麻酔も併用する必要があります。

 また,治療後の炎症に対しては先制鎮痛法の効果はないので,術中の組織に対する侵襲は最小限とし,出来れば施術に要する時間を短縮することが望まれます。



先制鎮痛法 [ムシ歯の治療]

 先制鎮痛法とは,治療を開始する前に鎮痛処置を行うことで,治療後の痛みを減少させようとする方法です。これは,治療前の鎮痛処置によって,末梢性の感作あるいは中枢性の感作あるいはその両者の発現を抑制することで,これによって痛みに対するインプリント(記憶)の発現を抑えようとするものです。

 あらかじめ傷害を受けている部位に対して,さらに弱い刺激を加えると,強い痛みとして感じる,そのような痛覚過敏の状態が現れることは経験があると思います。たとえば,傷口に触れただけで痛い,などです。これは,神経終末が露出していることも考えられますが,痛覚過敏と考える方が適当でしょう。

 触覚刺激など,正常では痛みとして感じないような刺激を,強く痛みとして感じる状態を,(一次性)痛覚亢進と呼びます。この状態に対して適切な鎮痛処置を行わずに,長時間にわたって痛覚亢進の状態が持続すると,痛みの発現がさらに痛みを増幅するというような,フィードバック状態になります。これが,末梢性の感作です。

 一方,中枢性の感作とは,末梢からの刺激(痛覚刺激がよく分かると思います)が脊髄まで連続して到達することによって,脊髄が痛覚の亢進状態となることです。

 中枢性の感作に至ると,傷害を受けている部分以外の,その周囲にある正常な部位に触覚刺激などをあたえると,痛覚として感じるような過敏な反応を示すようになります。

 末梢性の感作や中枢性の感作が形成されると,それが消失するまでにはかなりの長時間が必要です。患者さんは,これが消失するまで,痛みが持続することに悩むことになります。これは,痛みがインプリント(記憶)された状態ともいえるでしょう。

 このような末梢性あるいは中枢性の感作が起こらないように,あらかじめ鎮痛処置を行っておく方法が,先制鎮痛法です。

 先制鎮痛法は,動物実験ではその効果が確かめられていますが,ヒトを対象とした検討ではその効果が疑問視されており,あまり普及していない方法でもあることも付け加えておきます。

 上記の訳語は一般的でないかもしれませんので,下記に示しておきます。

 preemptive analgesia, peripheral sensitization, central senstization



ムシ歯の治療 ブログトップ

このブログの更新情報が届きます

すでにブログをお持ちの方は[こちら]
メッセージを送る


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。